茉莉子さん企画の中で、実は一番最初に書きたい!と思ったのがこのテーマ。
しかし、書きたいことがありすぎて全然まとまらず、書き散らかしては保存、書き散らかしては保存を繰り返しては、ただただ温めていました。
仕事で色々あったタイミングだったこともあり、一旦読み返して再トライしようかな~と考えていたところ、茉莉子さんがこのお題を振ってくださり読了後に書いています。
絶妙なタイミングでこのテーマを選んでくれた彼女の天才的インスピレーションに震えつつ、心からの感謝を送りたいです。
小学校低学年ぐらいに少しずつ母が読んでくれて、その後1人で読むようになり、それから年に一度は必ず読み返している本があります。
モモ ミヒャエル・エンデ
MOMO / Michael Ende
あらすじ
とある街のはずれにある円形劇場に、少女が住み着きました。年齢は小学生くらい。裸足で、服はボロボロです。「モモ」という名前は自分で付けたとのことでした。
街の住人たちは相談をし、皆で彼女の面倒をみることにします。しばらく経つと、モモは人の話を聞くのがとても上手な子だと気付きました。どんなに困っている人でも彼女に相談をすると、解決策が浮かんできたり、幸せな気持ちになれたりするのです。街の人たちにとって、モモは欠かせない大切な存在になりました。
そんなある日、街に灰色の男たちがやってきます。不満を抱えている人の心の隙間に入り込み、人生のなかでいかに時間を無駄にしているかを説きました。そして、時間を節約して「時間貯蓄銀行」に預ければ、利子をつけて返すと言うのです。街の人はその言葉を信じ、1秒でも無駄にしないようセカセカと働き、心の余裕をなくし、いつもイライラと怒るようになりました。
そのことに気付いたモモは、街の子どもたちに呼び掛け、プラカードを作って灰色の男たちに時間を奪われていることを大人たちに訴えるのですが、見向きもしてもらえません。さらに今度は彼女自身が、灰色の男たちから狙われてしまうのです。
モモは街の人を救おうと、時間を司るマイスター・ホラのもとを訪れ、貯蔵庫から時間を解放しようと奮闘するのですが……。
自然で、押し付けがましいことは言わず、誰かに媚びたりプライドを振りかざすこととは無縁。明るくフットワークは軽いけど、どこかどっしりと落ち着いたところがとても魅力的な主人公・モモ。
彼女は人の話を「本当に」聞くことができる人で、みんな彼女に話を聞いてもらうだけで考えがまとまったり、喧嘩をしていてもなんでこうなってしまったのか冷静に考えることができるのです。
彼女にとって人の話を聞くことは、心の声を聞くこと。
それができるのは彼女が自分自身をありのまま受け入れていて、いつも心が開かれているからなんだろうな、と思います。
そういう人の前では誰しも素直に飾らず自分の心を言葉にできるから。
そんなモモに触れていると自分もとてもフラットな気持ちになれます。
エゴや卑屈さに囚われそうな時に読むと、そういう心のトゲトゲした部分が丸くなります。
物語自体もそれぞれのシーンで思い入れはありますが、話の主軸として扱われている「時間とは何か」というテーマについては社会人になってやっと理解できた気がします。
街の人たちが時間貯蓄銀行の灰色の男達に影響を受けてしまった結果、時間を倹約することに時間をかけることになってしまい、心の余裕を失っていくという箇所があります。
そこで重なったのが、働くようになってからたまに遭遇する、何かの目的ために仕事をするのではなく、仕事のための仕事をしなくてはいけない状態に陥ってしまうこと。
何のためにやっているのかよく分からないけど、とにかくやらねばという義務感は本当に心を削ります。
今でもそういう仕事がやってくることはありますが、灰色の男達の気配を感じつつ、目的地を見つけて軌道修正すると嫌なスパイラルから多少早く抜け出せるような気がします。
何度読んでも発見があってフラットな気持ちになれる、本当にお守りにしている一冊です。これからも読み続けていきたいです。
ちなみに実写版の映画も大好きです。
あまりに原作どおりで、心が暖かくなったり、恐ろしかったり、胸が締め付けられたりと最高です。
モモも完璧にモモですし、ほかの登場人物も物語そのままです。